眼科ブログ

当院の昨年度網膜硝子体手術実績と黄斑上膜(黄斑前膜)について

当院の昨年度の網膜硝子体関連の手術件数は101件となりました。最近の特徴として、視力を維持する上で欠かせないポイントである黄斑部に関する手術が増加傾向にあり、なかでも黄斑上膜の手術が増えています。

黄斑上膜は黄斑前膜、網膜上膜、網膜前膜と4通りの呼び方がありますが、同じ病気を意味しています。黄斑上膜は網膜の中心部分である黄斑の上にセロフィン上の膜が形成される病気で、なぜこのような膜が形成されるかについては、現代の医学をもってしても、まだ完全に解明されているわけではありませんが、何らかの原因で目の中の細胞が長い時間をかけて網膜の中心部に蓄積してしまうことが膜を形成してしまう理由と考えられています。

黄斑上膜は、網膜の病気の中でも罹患する確率の高い病気の一つで、主な自覚症状としては見え方の歪みやひずみを感じる変視症、視力低下があげられます。軽度の場合は反対側の目で補正するために自覚症状を感じないこともありますので、定期的なチェックが大切です。最近は健康診断や人間ドックの結果、一度調べておきたいと精密検査を希望されて来院されることが多くなりました。40代以降の患者様になると、なかには白内障と黄斑上膜を併発しているケースも珍しくありません。

当院では通常の視力検査や歪みの検査、眼底検査だけでなく、網膜の断面を撮影し黄斑病変をしっかり鑑別できるOCT(光干渉断層計)という網膜三次元画像解析装置を用いてより精密な検査に努めています。また、必要に応じてOCTA(光干渉断層血管撮影)で黄斑部の状態を確認することで、その他の眼病を早期発見・早期治療できるシステムを整えています。

黄斑上膜の治療に関してですが、視力低下や変視症といった自覚症状の程度や黄斑部の変化が強くない場合は、経過観察で様子を見るケースもありますが、進行状況によっては硝子体手術を行う必要があります。手術を行うかどうかは黄斑部の状態や黄斑上膜の発症後の時間経過など総合的に判断し最終決定します。

黄斑上膜に対する硝子体手術は、黄斑部を覆うERMというセロファン状の膜を除去し、これ以上の悪化を予防するために行うものです。当院では25ゲージまたは27ゲージでの極小切開硝子体手術システムを導入し、傷口の大きさを従来の約半分(0.5mm)と低侵襲での日帰り網膜硝子体手術を行っています。

硝子体手術は白内障手術と異なり、手術の翌日から見え方の改善を自覚することはほとんどありません。通常の場合、視力はゆっくりと回復していきますので、ある程度長いスパンで術後経過を見ていく必要があります。黄斑上膜は軽症のものを含めると40歳以上のおよそ20人に1人が罹患するとも言われており、比較的多くの方に起こりうる病気です。基本的には失明に至らない病気ですが、だからといって安心していいというわけではなく、見え方に直結することから日常生活に影響が出やすい病気と言えます。

ケースバイケースですが、白内障も始まりつつある患者様の場合、白内障の手術と同時に黄斑上膜治療のための硝子体手術を検討します。当院では日帰りで白内障と黄斑上膜の手術を同時に行うことができますので、患者様の経済的な負担、体にかかる負担を大きく減らすことができます。最近は目を酷使する生活環境が広がっているからでしょうか、働き盛りの方に増えている手術ケースと言えます。

白内障は目がかすむ症状、黄斑上膜はものが歪んで見える症状ですが、この2つを同時に治療してクリアな視界を取り戻すことは、その後の生活の過ごしやすさが大きく変わってくると思います。当院では術後の「見え方の質」にこだわり、スタッフ一同日々研鑽に努めております。わからないことがありましたらご相談ください。

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