眼科ブログ

強度近視にICL、若年性白内障に多焦点眼内レンズを用いた手術例について

目の状態は人それぞれで、よりよい見え方に近づけるには治療法もそれぞれ異なります。また、右目と左目の状態も違いますから、その時々の状態や検査結果、患者様のライフスタイルやご意向など総合的に判断していくのは言うまでもありません。

なかでもアトピーなどが原因で起こる若年性白内障の患者様の場合、画一的な治療法では患者様の望む見え方に対応できない場合があります。当院ではできるかぎりの可能な選択肢をご用意して、患者様とよく話し合いながら治療計画を組み立てるように努めています。

30代でアトピーをお持ちの患者様で若年性白内障を発症された患者様の例をご紹介させていただきます。
右目が裸眼で0.04・-10.5D、左目が0.06・-9.75Dと強度近視も強く、左目に若年性白内障が認められました。

仕事の必要上、手元が見られるようになりたいとのご希望で、2年前にファインビジョンを用いた白内障手術を左目に行い、裸眼で0.9、近見視力は40㎝が0.9、60㎝が1.0に改善しました。また、もともとあった近視の方もファインビジョンの眼内レンズ度数でほぼ狙い通りの正視(度数+0.25)となり、かなり改善しています。

右目は当面コンタクトレンズで視力矯正を行っていましたが、ゴロゴロするなどドライアイとアレルギー性結膜炎で慢性の異物感があり、またメガネはかなりの不同視(ガチャ目)であいづらい状態でした、コンタクトレンズを使用せずに過ごしたいとのご希望でしたので、近視改善と不同視改善を目的に本人希望のもと、右目にICL近視矯正手術を行いました。

右目の視力は裸眼で0.04から1.2に改善し、よく見えるようになったとお喜びになられる姿を見て、眼科診療に携わるやりがいをスタッフ一同あらためて感じました。右目が将来白内障になった時でも、通常の白内障手術を行うことができるICLのメリットも活かされた治療だったかと思います。

かなり特殊な例ではありますが、眼科治療の高度化に伴い患者様お一人おひとりのご希望に沿った見え方に近づける手術・治療方法が発展していることの証左として取り上げさせていただきました。もちろん全ての方にこの方法が適応するわけではありません。一つの方法とご参考になれば幸いです。

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