眼科ブログ

強度近視の進行に伴うさまざまな合併症について

目に関する病気の中でも最も身近と言えるのが近視です。メガネやコンタクトが無くては遠くが見えづらい状態を近視と呼びますが、その程度は人によってさまざまです。近視の中でもメガネの度数が-6D(ディオプター)、眼球の長さが26mmを超えるようになると強度近視、さらに眼球の長さが進んで病的なトラブルを伴った状態の近視は病的近視といいます。

強度近視の方の場合、ものを見るために最も重要な黄斑部にトラブルが起こる可能性が通常よりも高いですから、定期的な観察に加え「見え方がおかしい」と思ったらすぐに眼科専門医を受診することをおすすめします。

強度近視の進行に伴い注意したい主な合併症は次の通りです。
・緑内障
・網膜剥離
・近視性牽引黄斑症候群
・近視性網脈絡膜新生血管
・網脈絡膜萎縮

このうち比較的聞きなれた病名は緑内障と網膜剥離ではないかと思います。視野が欠けていく病気である緑内障は自覚症状を感じにくく、欠けた視野は戻らないため早期発見・早期治療が何よりも大切です。また、網膜剥離はボクサーに多い病気と思われがちですが、実は強度近視に伴うケースも多く、できるだけ早く剥がれた網膜を硝子体手術で戻さなければ視力低下や最悪の場合、失明に繋がってしまいます。

強度近視そのものを治療する方法は現時点ではありませんが、定期的な診察を受けていただくことでさまざまな合併症を予防する、もしくは重篤になってしまう可能性の軽減に繋げることはできるかもしれません。当院は網膜深層から脈絡膜まで3次元で血管構造を観察することができる光干渉断層血管撮影(OCT angiography:OCTA)を導入しています。通常の光干渉断層計(OCT)や眼底所見などと組み合わせて鑑別を行うことで、強度近視の進行に伴うさまざまな合併症や他の眼病に対してより正確な診断を行い早期発見・早期治療に努めています。

目の病状や経過は人それぞれですが、「ものが歪んで見える」「ゴミのようなものが浮かんで見える」などの自覚症状がありましたら、早めの受診をお考えいただければと思います。ご参考になれば幸いです。

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