眼科ブログ
先日、「黄斑上膜と黄斑前膜って違う病気なんですか?」と、ご質問を受けたことがありました。
結論から申し上げますと、黄斑上膜も黄斑前膜も同じ病気です。
さらにいえば、網膜上膜と網膜前膜も含めて、この4つは全部同じ病気となります。
現場では、この4つが混同して使われておりますので、少しややこしいイメージがあるかもしれません。
黄斑上膜が、網膜の中心部分である黄斑の上に、セロフィン上の膜が形成される病気であることは、すでにご存じのことと思います。
この黄斑上膜ができる原因については、まだ完全に解明されているわけではありませんが、何らかの原因で目の中の細胞が、長い時間をかけて網膜の中心部に蓄積してしまうことで、膜を形成していると考えられています。
黄斑上膜は、視力低下や変視症といった自覚症状の程度や、黄斑部の変化が強くない場合は、経過観察で様子を見るケースもありますが、進行状況によっては硝子体手術を行う必要があります。
手術を行うかどうかは、黄斑部の状態や黄斑上膜の発症後の時間経過などを総合的に判断して、最終決定します。
黄斑上膜に対する硝子体手術は、黄斑部を覆うERMというセロファン状の膜を除去し、これ以上の悪化を予防するために行うもので、当院では25ゲージ硝子体手術システムを導入し、傷口の大きさを従来の約半分(0.5mm)と、低侵襲での日帰り網膜硝子体手術を行っています。
これによって、手術後の痛みや目のごろつきなどの異物感はより少なくなり、回復も早くなるなど、以前に比べ標準的な加療になってきているので、ご安心ください。
また、硝子体手術では、網膜の状態によっては眼球内にガスをいれて手術を終了する場合がありますが、その場合は、手術後しばらくうつぶせの姿勢をとる必要がありますので、担当医師の指示に従ってください。
硝子体手術は白内障手術と異なり、手術の翌日から見え方の改善を自覚することは、ほとんどありません。
通常の場合、視力はゆっくりと回復していきますので、ある程度長いスパンで術後経過を見ていく必要があります。
黄斑上膜は軽症のものを含めると、40歳以上のおよそ20人に1人が罹患するとも言われており、比較的多くの方に起こりうる病気です。
基本的には失明に至らない病気ですが、だからといって安心していいというわけではなく、見え方に直結することから日常生活に影響が出やすい病気と言えます。
当院では、網膜の断面を撮影する網膜三次元画像解析装置のOCT(光干渉断層計)はもちろん、より正確な検査や鑑別を行うために、OCTA(光干渉断層血管撮影)を導入しています。
手術を行わない場合でも、定期的な検査によって黄斑部の状態を確認しておくことは、他の眼疾患の早期発見・早期治療、または予防のためにも重要です。お困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
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