眼科ブログ

核白内障と強度近視、コントラスト視力の低下の関係について

白内障の自覚症状というと、「光がまぶしく感じる」「ものがかすんで見える」といったものが代表的であることはすでにご存じのことと思います。しかし、白内障の自覚症状はこれらに限定されるものではありません。なかには「最近メガネなしでもよく見える」といったものが、白内障の進行を表している場合もあるのです。今日は核白内障と強度近視の関係についてお話させていただきます。

核白内障とは、目の中にある水晶体の「核」と呼ばれる中心部分が徐々に硬くなっていくタイプの白内障のことですが、進行するにつれて近視の度も進んでいってしまいます。

つまり、近視でメガネをかけている方はメガネの度がどんどん上がっていくということです。初期段階ではメガネの度を上げることで視力が維持できますので、白内障だと診断されないケースもありますが、核白内障が進行するにしたがって視力は低下します。近視が特に強い目のことを強度近視と言いますが、比較的若い年齢で核白内障が進行していることでメガネを短いスパンで作り替えたり、白内障手術を受けることは珍しくありません。

一方、遠視の方が核白内障になった場合、水晶体が分厚くなることでレンズの役割を果たし、メガネなしでも遠方と手元が見えるようになります。これが「メガネなしでもよく見える!」ということに繋がるのですが、決して喜べる状況ではありません。核白内障が進行している場合もありますので、かえって注意が必要です。

白内障は水晶体が白く濁っていくことから白内障という病名がついていますが、水晶体の核は白くなりません。核白内障の場合、水晶体の中心から黄色から茶色、褐色というように濁りが始まっていきますので、自覚症状が出にくいのが特徴です。視力低下よりも近視が進んだり、微妙な色の識別ができなくなってくる(コントラスト視力の低下)ことが先に起こるのが核白内障です。

さらにやっかいなことに、水晶体の中心部分である核が硬くなっていくのが核白内障ですから、症状が進行すると手術が難しくなってきますので、早期発見・早期治療が大切です。

しかし、「メガネなしでもよく見えるようになってきたのに、何で白内障なの?」というお話を診察現場でうかがうこともあります。近視の度数が変わり、手元は逆に見やすくなったために目の調子がよくなったようにお感じになる場合もありますが、度数の変化やメガネが合わなくなることが白内障進行の一つのサインな場合もあるとか、白内障でコントラスト視力の低下が症状のメインとなる場合もあるということをできるだけわかりやすく説明するように努めています。

核白内障が進行すると色の見え方が変化するため、特に木造の家にお住まいの方だと階段の段差が見えづらく大ケガに繋がる場合もあります。また、仕事や趣味で色をたくさん扱う場合、ご不便なことも出てきます。静かに進行していく核白内障は自覚症状が出にくいですが、「近視の度合いが強くなった」「最近、老眼が軽くなったように感じる」「暗い所でより見えづらく感じるようになった」「薄い色の微妙な判別が困難になった」といったことを感じた場合は、白内障治療に実績のある眼科専門医を一度受診された方がいいでしょう。ご参考になれば幸いです。

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