眼科ブログ
生活習慣病が目の状態に悪影響を及ぼすことは、すでにご存じの通りと思います。
なかでも糖尿病は、網膜に密集している細い血管を血糖値が上昇することで詰まらせてしまい、網膜に十分な栄養や酸素が行き届かなくなる状態、いわゆる「糖尿病性網膜症」を引き起こします。これは糖尿病に合併する目の病気の中で、一番メジャーな病気と言えるでしょう。
先日も糖尿病をお持ちの患者様が、初診でお見えになられました。以前、糖尿病網膜症と病院で診断され、数年前に網膜レーザー治療をされたのですが、その後の定期通院はしていなかったそうです。診察に来られた日の前日の夕方に突然左目が見えなくなったとのことで、診察してみると視力は0.01、大量の眼底出血(硝子体出血・網膜硝子体出血)のため、眼底を透見することができない状態でした。
糖尿病性網膜症には次の3段階があります。
1.単純糖尿病網膜症…自覚症状がなく気づきにくい
2.増殖前糖尿病網膜症…中心視力の低下、ものが歪んで見える変視症が起こる
3.増殖糖尿病網膜症…新生血管が網膜から硝子体に向かって生え、さまざまな合併症および失明の危険性が高まってくる状態
この患者様の場合、増殖性の変化もあるため、出血除去と糖尿病網膜症加療目的にて、緊急に網膜硝子体手術予定となりました。
糖尿病を患っておられる方は、程度に関係なく常に糖尿病性網膜症の発症に注意する必要があります。自覚症状がなかなかないため気づきにくく、進行や再発を食い止めるためには定期的な眼底検査や、網膜に異常がないかどうかを経過観察しなければなりません。
また、重度の糖尿病の方は、免疫力の低下もあって術後感染のリスクも高くなります。
当院は網膜の病気をより精密に診断できるOCTA(光干渉断層血管撮影)や、硝子体手術装置「コンステレーション・ビジョンシステム」を導入しており、緊急対応できる十分な設備を整えておりますが、やはり少しでもいい目の状態を保つためには、定期的な検査によって重篤化する前に早期発見・早期治療を行うことが何よりも大切です。
特に糖尿病をお持ちの方については血糖コントロールを行うことと、重ねて申しますが、定期的な眼科検診で網膜の状態を確認していただくことをおすすめします。ご参考になれば幸いです。
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