眼科ブログ
当院で今年に入って劇的に増加している眼科手術の一つに「ICL(近視治療)」があります。つい先日もネイリストの若い女性の方のICL手術を行いました。
乱視度数が「4D」とかなり強い乱視で、メガネやコンタクトでは矯正できない乱視量をお持ちの方でした。
お仕事が手元で細かな技術を行うジャンルのため、思い切ってICL手術を選択されたそうです。幸い精密適応検査を行うと乱視量に高次乱視成分は少なく、ある程度屈折矯正手術で改善が見込めそうでした。逆に近視はそれほど強くなく、乱視による見えづらさの解消という試みでした。
少し特殊な症例ですのでICLエキスパートの他の先生方とも複数回の相談とミーティングを重ねて、ご本人とも何度か慎重に話し合った結果、当院でのICL治療を選択されました。
手術前は
RV = 0.3(0.8×S-0.75D:C-4.00D Ax170)
LV = 0.2(0.7×S-2.25D:C-4.00D Ax170)
と裸眼視力が右0.3左0.2で乱視により矯正視力も不良でした。
ICL手術後は
RV = 1.2×ICL(n.c.)
LV = 1.2p×ICL(n.c.)
と裸眼視力が右1.2、左1.2と大幅に改善しました。
術後は今まで見えたことのなかった見え方です、と大変喜んでいただきました。
お仕事もずいぶんやりやすくなったとのことです。
乱視矯正には様々な要素が加わり、視力が十分に出ない可能性もあったので、手術を行った私はもちろん、度数の計算に携わった視能訓練士やスタッフ一同とても医療人冥利につきるひと時でした。
従来、乱視に対しては、メガネやコンタクトレンズで矯正するのが一般的で、逆にいえばそれしか選択肢がなかったのです。私が子どもの頃、乱視に悩まされてスポーツの才能がありながらその道を進むことをあきらめなければならなかった子もいました。
その後、屈折矯正手術という選択肢が登場しました。代表的なのがレーシックですが、角膜をレーザーで削り視力矯正を行うため、矯正が難しい強度の近視や乱視の場合、受けることができませんでした。それに代わる新しい屈折矯正手術として注目されているのがICL手術((眼内コンタクトレンズ挿入手術)です。
ICLは角膜を削ることなく眼内レンズを移植し視力矯正を行う方法なので、レーシックでは矯正の難しい強度の近視や乱視の方でも受けることができるというメリットがあります。これまでメガネやコンタクト、あるいはレーシックでも矯正が難しかった乱視の治療に貢献できたことは、ICL研究会に所属しICL手術の研鑽に努めてきた私にとって、ますますICL治療の有効性に自信を深めさせてくれました。
盆休みも終わり、明日から診療開始です。連日の猛暑、変わらぬ新型コロナウイルスの状況で体調管理が難しい日々ですが、水分補給をこまめにしてくれぐれもご自愛ください。
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