眼科ブログ

緑内障レーザー治療のメリット・デメリットについて

緑内障の基礎知識

日本における成人中途失明原因の第1位と言われる緑内障は、眼圧によって視神経が障害を受けることで、視野が欠けたり視力が落ちたりする病気です。

気づかないうちに病状が進行していることが多く、失われた視野を取り戻すことは日々進化する現在の医学でも不可能なため、定期検査によって早期発見・早期治療を行うことが必須です。

緑内障治療は、まず点眼薬で眼圧を下げることが基本です。

その理由は、眼圧が高いほど視野が悪化しやすいからで、眼圧をコントロールする緑内障点眼薬の進歩により、以前に比べれば失明の危険性は減少しています。

SLTレーザー治療のメリット・デメリット

点眼で眼圧のコントロールが難しい場合は、レーザー治療を検討します。

当院では、外来で簡単に行うことができ、痛みもない緑内障治療のSLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)を導入しています。

SLTレーザー治療と呼ばれるもので、主な特徴をまとめると次の通りになります。
・外来で行うことができる(10分程度)
・合併症や副作用が非常に少なく安全性が高い
・点眼薬や外科手術の併用が可能
・低侵襲の体に優しい治療で、繰り返し行うことができる

また、SLTの対象になる方は以下の通りです。
・眼圧の高い方
・正常眼圧緑内障でも眼圧を下げる必要のある方
・緑内障の点眼薬の副作用で困っている方
・毎日定期的に点眼を行うことが困難な方
・妊娠などが理由で点眼治療ができない方

 

点眼麻酔の後、約10分程度で治療できるため、合併症や副作用の心配が非常に少なく、安全性に優れていること、繰り返し行うことができるなどがメリットです。

デメリットとしては、緑内障のタイプや進行具合によっては、SLTレーザー治療が適応せず、手術を含めた他の治療が必要になることです。

また、効果には個人差がありますので、当院は精密検査を行った上で総合的に判断し、SLTレーザー治療を施行しています。

最適な緑内障治療を提供するために

目の状態は日々変化するものですし、せっかく早期発見できてもそれに対する効果的な治療法を持ち合わせていなければ、患者様の見え方の質をお守りすることはできません。

当院では、現時点で考えられる最良の治療法の選択肢を、できるだけ増やしていきたいと考えています。

SLTレーザー治療によって、緑内障のすべてが改善されるというわけではありませんが、点眼薬や外科手術との併用が可能なこと、低侵襲で身体に優しい治療法であることなどの理由から、当院では緑内障の補助療法として施行しています。

あくまで眼圧を下げる一つの方法であり、失われた視野を戻すことはできませんが、目薬の種類を増やすよりも、早期にSLTレーザー治療を受ける方が、眼圧が安定するとともに、緑内障の進行を少しでも遅らせることができる可能性があります。

緑内障は早期発見・早期治療が何よりも大切です。40歳以上になれば自覚症状がなくても、定期的に眼科専門医を受診するようにしてください。ご参考になれば幸いです。

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