眼科ブログ
4月に入り、暖かい日が続き、春らしくなってきましたね。
昨日は手術日で、白内障手術が中心だったのですが、大きな特徴がありました。
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術10件すべてが、乱視矯正(トーリック)タイプだったのです。
たまたま重なっただけとも言えますが、当院でも乱視矯正の眼内レンズの割合は年々増えています。
2022年を振り返ってみても、3焦点「パンオプティクス」149件のうち乱視矯正タイプが58件、5焦点「インテンシティー」125件のうち乱視矯正タイプが41件でした。
3焦点「ファインビジョン」においては38件のうち乱視矯正タイプが29件と多数を占めましたし、その他の多焦点眼内レンズも14件のうち乱視矯正タイプが10件と高い割合でした。
患者様に納得のできる眼内レンズ選びをしていただけるよう、単焦点・多焦点を問わず、乱視矯正タイプを有する眼内レンズをできるだけ多く取り揃えてきた当院の成果が、反映されている結果だと思っています。
近視や遠視は比較的イメージを持ちやすいと思いますが、乱視を具体的にイメージすることは難しいのではないでしょうか。
また、診療の現場にいると、近視と乱視を併せ持っている方は、年々増えているように感じられます。
なかには、乱視から来る見えづらさを、近視が進んだと勘違いし、必要以上に度数の高いメガネやコンタクトレンズを使用することで、かえって頭痛や肩こりなどに悩まされている方も見受けられます。
乱視とは、ものが二重に見える状態のことで、角膜と水晶体の球面形に歪み・ひずみがあることで起こります。
乱視は大きく分けて正乱視と不正乱視に分かれ、正乱視は角膜や水晶体などがある軸一方向にゆがんでおり、メガネの円柱レンズや乱視用のコンタクトレンズ、眼内レンズなどである程度補正することが可能です。
不正乱視は軸が一定で無い不規則な凸凹な歪みにより、現時点では修正が難しいです。
白内障手術で修正できるのは正乱視で角膜乱視成分になり、全ての乱視を矯正できるわけではありませんが、同時に見え方の質を追求するには、乱視成分の分析と補正が重要になります。
白内障と同時に乱視を軽減するには、歪みやひずみが起こっている方向に合わせて、眼内レンズをセットしなければなりません。
この時、眼内レンズの角度が1度回転すると、せっかく乱視矯正の眼内レンズを入れても、乱視矯正の効果が3%失われてしまうと言われています。
したがって、乱視用(トーリック)眼内レンズを用いる白内障手術は非常にデリケートなため、あらゆる点で高度な手術技量が要求されます。
より精度を高めて白内障手術後の見え方の質をよくするために、当院では次のポイントにこだわっています。
・最適な眼内レンズの選択肢の提供に努める
・そのための度数合わせや軸合わせについて、手術前検査はもちろん、手術室に入る前の正確な乱視評価を行う
・手術時においても、「術前マーキング法・術中位置角度確認」などを正確に行う
こうした一つ一つの準備、手術において手間ひまをかけることが、白内障手術と同時に乱視を軽減し、少しでもクリアな視界を保つために重要なことだと、当院では考えています。
これまでのところ、乱視矯正眼内レンズを用いた白内障手術においても満足度のいく結果が得られ、スタッフ一同更なる研鑽に努めています。
当院では、白内障手術に使用する眼内レンズの度数計算を精密に行う「IOLマスター700」を始め、屈折度数はもちろん、角膜形状やメガネでは矯正できない不正乱視成分まで、簡単に測定できる「ウェーブフロントアナライザー」などの検査機器を取り揃えています。
また、白内障手術に関しては眼科手術用顕微鏡「Proveo8」、白内障手術装置「センチュリオン・ビジョン・システム」を用いることで、より精度の高い白内障手術に努めています。
白内障手術無料説明会、眼内レンズ無料説明会も定期的に開催していますので、わからないことがありましたらお気軽にお問い合わせください。ご参考になれば幸いです。
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