眼科ブログ
黄斑とは、「もの」を見るために大切な網膜の中心にある部分のことです。
この黄斑の上に、セロファン状の膜が形成される病気が、黄斑上膜です。
黄斑上膜のほかに黄斑前膜、網膜前膜、網膜上膜と呼ばれ、名称が異なることから違う病気と勘違いされがちですが、この4つは同じ病気を意味しています。
黄斑上膜は、網膜の病気の中では最も多い病気の一つで、白内障のように水晶体が濁る病気や角膜の病気とは異なり、眼球の奥底に生じるのが特徴です。
進行すると、見え方の歪みやひずみなどの変視症、中心部の視力低下などが自覚症状として現れます。
ただし、症状が出ていない方の目で補って見ていることも多いため、症状に気づかないケースもあります。
黄斑上膜ができる最も多い原因は、加齢に伴うものです。
その他には、外傷やぶどう膜炎などの目の中で起きた炎症や網膜剥離などが原因となる場合があります。
大きく分けて、加齢に伴うものが「特発性黄斑上膜」、外傷やぶどう膜炎などによるものを「続発性黄斑上膜」と呼びます。
二つの黄斑上膜の違いについては、下記のブログをご参照ください。
また、黄斑上膜は、最近特集される機会の多い加齢黄斑変性とは別の病気です。
黄斑上膜は目の奥で起こる病気のため、メガネやコンタクトレンズで視力矯正を行うことはできません。
また、目薬や飲み薬で改善することもなく、進行状況によっては硝子体手術が必要になります。
黄斑上膜を放置していると、黄斑部に水が浮腫状に溜まってしまう「黄斑浮腫」、黄斑部を引っ張ってしまう「硝子体黄斑牽引症候群」、黄斑に穴が開いてしまう「黄斑円孔」など、さまざまな疾患を併発する可能性があります。
黄斑上膜に対する硝子体手術は、黄斑部を覆うERMというセロファン状の膜を除去し、これ以上の悪化を予防するために行うものです。
後に白内障が進行するケースもあることから、硝子体手術だけでなく白内障手術も同時に行うことがあります。
黄斑上膜の手術を行うかどうかは、黄斑部の状態や黄斑上膜の発症後の時間経過などを、総合的に判断した上で最終決定していきます。
当院では、通常の視力検査や眼圧検査のほか、歪みの程度を判定するアムスラーチャート、網膜の断面を撮影する網膜三次元画像解析装置のOCT(光干渉断層計)によって、総合的に状態を評価しています。
さらに当院では、より早期に病気を発見することが可能で、加齢黄斑変性などとの鑑別や、併発している病気がないかを調べることのできるOCTA(光干渉断層血管撮影)を導入しています。
網膜の中心部分である黄斑を守ることは、視力を維持する上で欠かせないポイントです。
黄斑の病気を患うと見え方が悪くなり、仕事や日常生活に大きく影響してきます。
40代以降になると、白内障と黄斑上膜を併発しているケースも珍しくなく、働き盛りの方にとって気を付けたい病気の一つです。
最近見え方がおかしいなと思ったら、早めに眼科専門医を受診するようにしてください。ご参考になれば幸いです。
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