眼科ブログ
アトピー性白内障とは、その名の通り、アトピー性皮膚炎を起因とする若年性白内障のことです。
白内障は60代以降に起こる目の病気というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、最近はそれより若い世代の患者様も増えており、なかでもアトピー性皮膚炎は、若年性白内障で最も多い原因疾患です。
当院でも年々増えている症例の一つで、アトピー性皮膚炎をお持ちの方は、白内障だけでなく網膜剥離を引き起こしているケースもありますので、視力低下を訴えられた場合、精密な検査のもとにその鑑別をしっかり行うことを心がけています。
1.視力低下が急激に進む
アトピー性白内障は水晶体の中心部から混濁が見られることが多く、視力低下が急速に進むのが特徴です。その理由は水晶体のまわりの皮質が溶けやすいことにあり、20代・30代の働き盛りで、白内障手術が必要になることも珍しくありません。
白内障手術を検討する際、もっと高齢になってからの病気だというイメージが強いですから、突然のことに驚かれるケースも多いです。そのため、適切な治療はもちろんですが、メンタル的なフォローも大事になってきます。
2.白内障の進行が早い
加齢に伴う白内障に比べ、白内障が進むスピードが速いのもアトピー性皮膚炎に伴う白内障の特徴なので、早期発見・早期治療がとても大事になります。
水晶体の周りの皮質が溶けやすいため、成熟白内障が進んで水晶体皮質が液化した状態、いわゆるミルキー白内障と呼ばれるものも、アトピー性皮膚炎をお持ちの患者様に多い白内障と言えます。
3.明るいところで見えづらさを感じる
加齢に伴う白内障が暗いところで見えづらさを感じるのに対し、アトピー性白内障の場合、明るいところで見えづらさを感じるのが、初期症状の特徴の一つです。
その理由は、水晶体の中心部から混濁が進むためで、明るい場所は瞳孔が小さくなるので中央部分の濁りを感じやすくなり、見えづらくなるのです。
アトピー性白内障が起こる詳しい原因は、まぶたを強くこすったり叩いたりといった目への刺激、もともとのアトピー性皮膚炎が原因とも言われていますが、現代の医学をもってしても、まだ完全に解明されているわけではありません。
アトピー性白内障の場合、白内障手術時にチン小帯脆弱を伴っていたり、白内障の進行が早いため成熟白内障や前嚢下白内障で前嚢癒着も伴っていたり、もともとの網膜剥離のリスクが高かったりするなど、眼科的にリスクが高いのが特徴です。
そのため、アトピー性白内障の手術は難症例となるケースも少なくありません。リスクが高いことと、働き盛りの年齢のため仕事上での制限や要望もあり、内眼手術を専門とする眼科医師にとって、調整や対策を必要とすることも多いのが実情です。
一方、何とか患者様の希望される見え方に近づくことができるようにと苦慮し手術を行った結果、見え方が良くなっていただいた時はとてもやりがいを感じる疾患でもあります。
若い年代のため、将来の眼鏡やコンタクトレンズにかかる費用と比較して、多焦点眼内レンズを希望される患者様も少なくありません。しかし、アトピー性皮膚炎がひどい方の場合、眼内レンズを支えるチン小帯が弱いケースがあり、場合によってはレンズが挿入できないなど、多焦点眼内レンズを希望されても適合しないケースがあります。
その場合、できるかぎりの可能な選択肢をご用意して、患者様とよく話し合いながら治療計画を組み立てるように努めています。また、術後にかゆみで目をこすると細菌感染も起こる可能性がありますので、術後管理には特に気を付けています。
当院はこれまでに数多くのアトピー性白内障を含む若年性白内障の症例を行い、患者様のライフスタイルに合わせた眼内レンズのご提案に努めてきました。
特にアトピー性白内障の患者様の場合、画一的な治療法では患者様の望む見え方に対応できない場合があります。スタッフ一同、今後もより一層精進し、患者様の健やかな生活と豊かなアイライフに貢献してまいります。ご参考になれば幸いです。
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