眼科ブログ

白内障と認知症の関係について

目から得た情報は、脳で処理することで初めて認識される

医学の進歩によって、高齢者の視力低下と認知機能低下との関連性が明らかになってきています。

私の母校である奈良県立医科大学でも、調査や臨床研究に取り組んでいたようで、視力の悪さと認知機能の衰えが比例していることの研究は、今後ますます進んでいくことでしょう。

現段階で分かっている範囲で、白内障と認知症がなぜ関係しているのか、その特徴についてお話させていただきます。

そもそも、人間が受け取る情報量の8割は、目から得ていると言われています。

高度な情報化社会である現代は、いつでもどこでも、スマートフォンあるいはタブレットなどですぐに情報を見られる時代ですから、目から得られる情報量は以前よりもっと高いかもしれません。

私たちの目は、カメラでいえばレンズに該当する水晶体を、毛様体筋という筋肉を使うことで変形させ、ピントを調節することで、ものを正しく認識できるようになっています。

もちろん、目だけで認識するわけではありません。

私たちが見た光や景色は網膜に投影され、その情報が視神経を通じて大脳に入り、後頭葉で処理されて、初めて認識されるわけです。

このように、目から得る情報は脳に刺激を与えるものなので、白内障などの病気を患って見え方が悪くなったり視力が低下したりすると、受け取る情報量が少なくなるだけでなく、脳に送られる情報も少なくなってしまいます。

認知症と診断される前に白内障手術を行うことが大切

私は脳の専門家ではありませんので、軽はずみなことは言えません。

しかし、脳は使うことによって機能を維持・向上させますが、使わなければどんどん機能が衰えてしまい、それが認知症の発症に繋がってしまう可能性があることは、皆さんご存じの通りだと思います。

注意していただきたいのは、白内障手術を行うことが認知機能の改善に繋がる可能性はありますが、認知症と診断された方の症状が改善されるわけではないということです。

つまり、認知症と診断されてからでは遅いということで、見えづらさを感じたら仕事や日常生活で大きな支障が出る前に、白内障手術を検討することの大切さが表れていると思います。

白内障手術を行うことで見えづらさを改善すれば、認知症などの発症リスクを抑える可能性があることは、長年の研究で確かなものになってきました。

また、見えづらさから来るケガの防止などにも役立ちます。

その他、アクティブに過ごされるようになった患者様が多いように、日々の診療から感じています。

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