眼科ブログ

見え方の質に直結する黄斑の病気「黄斑上膜」について

最近、健康診断や人間ドックで黄斑疾患の疑いを指摘され、目の状態を調べておきたいと来院される方が増えています。特に、黄斑上膜の精密検査を希望される方は、40代から50代の働き盛りの方が多いのが特徴です。

すでにご存じのことと思いますが、網膜の中心にある黄斑は、「もの」を見るために最も敏感な部分のことです。黄斑が病気になると見え方が悪くなり、仕事や日常生活に大きく影響してくるわけですが、黄斑上膜とはこの黄斑の上に、セロファン状の膜が形成される病気のことです。黄斑上膜のほかに黄斑前膜、網膜前膜、網膜上膜とも呼ばれ、4つの名称があることからややこしく感じられるかもしれませんが、この4つは同じ病気を表しています。

黄斑上膜には加齢が主な要因である「特発性黄斑上膜」と、網膜剥離や糖尿病網膜症など他の眼科基礎疾患に由来付随する「続発性黄斑上膜」の2種類があります。どちらだから症状が重いとは一概に言えませんが、特発性黄斑上膜は数年かけてゆっくりと進行する場合が多いのに対し、続発性黄斑上膜は他の眼科基礎疾患が原因で起こるためか、進行が早いというのが現場で診療に携わっている者としては印象があります。それだけに、きめ細やかな検査・診療をスタッフ一同心がけています。

当院では通常の視力検査や歪みの検査、眼底検査だけでなく、網膜の断面を撮影し黄斑病変をしっかり鑑別できるOCT(光干渉断層計)という網膜三次元画像解析装置を用いてより精密な検査に努めています。また、必要に応じてOCTA(光干渉断層血管撮影)で黄斑部の状態を確認することで、その他の眼病を早期発見・早期治療できるシステムを整えています。

黄斑上膜の症状は見え方の歪みやひずみ、いわゆる変視症と呼ばれる症状や、中心部の視力低下などがあります。しかし、症状が出ていても反対側の症状が出ていない方の目で補っているため、初期の段階では自覚症状を感じないことも珍しくありません。

また、変視症はさまざまな眼疾患で起こるものですが、続発性黄斑上膜の場合、網膜剥離、黄斑変性、黄斑円孔、中心性漿液性脈絡網膜症、糖尿病網膜症に伴う黄斑浮腫、ぶどう膜炎など眼内炎症、網膜静脈閉塞症などの虚血性眼病変といった視力との関りが大きく、緊急性も要する症状に伴って起こるため、日々の変視症のチェックは重要です。

誰でも簡単にできる変視症のチェック方法が「アムスラーチャート」です。碁盤の目のような図を見てもらい、 格子のゆがみを調べる検査のことです。下にある図を、片目を必ず閉じた状態で30㎝ほど離れて、中心の点をまっすぐ見て下さい。メガネをかけている方はそのままで結構です。終わったら、もう片方の目で同じように図を見てください。

いかがでしょうか?

もし、次のような見え方をする場合、黄斑上膜だけでなく何らかの目の症状がある可能性が高いので、早めに眼科専門医を受診してください。

①図の中心が歪んで見える

②図の中心が薄暗く見える

③図が部分的に欠けて見える

黄斑を守ることは視力を維持する上で欠かせないポイントです。40代以降になると、なかには白内障と黄斑上膜を併発しているケースも珍しくありません。当院では日帰りで白内障と黄斑前膜の手術を同時に行うことができますので、患者様の経済的な負担、体にかかる負担を大きく減らすことができます。見えづらさを解消することは、その後の仕事や日常生活の過ごしやすさに大きく影響してきますので、おかしいなと思ったら早めに眼科専門医を受診するようにしてください。ご参考になれば幸いです。

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